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  • 執筆者の写真Shigeru Kondo

(1) 来年の分子生物学会は嵐を呼ぶぜ!

更新日:2018年11月2日

(これはジャニーズのユニット「嵐」のコンサートをやると言う意味ではありません。呼ぶならperfumeです)

2013年、分子生物学会年会大会長として、ごあいさつさせていただきます。


諸君、私は分生が好きだ。諸君、私は分生が好きだ。諸君、私は分生が大好きだ。

シンポジウムが好きだ。ワークショップが好きだ。プレナリートークが好きだ。ポスター発表が好きだ。ランチョンセミナーが好きだ。企業展示が好きだ。フォーラムが好きだ。受賞講演が好きだ。

横浜で、札幌で、京都で、博多で、神戸で、この日本で行われるあらゆる分子生物学会が大好きだ。

朝一番の講演のために、聴衆が一斉に会場に入ってくるのが好きだ。

座長の挨拶に続いて会場が暗くなり、最初のスライドが映し出されるとこころが踊る。

極めつけのデータを示したスライドで、会場に軽いため息を上げさせるのが好きだ。

ツッコミを入れてくる質問者を、更に決定的なデータでやり込めた時など、胸がすくような気持ちだった。

ずらりと並んだポスターの前を、そぞろ歩きをしながら眺めるのが好きだ。

紳士服の青木で買った新品スーツを来た大学院生が、一生懸命説明している様など感動すらおぼえる。

展示会場で、企業の係員から手渡される粗品を集める楽しさといったら、もうたまらない。

アンケート用紙を手にしたグライナーのコンパニオン部隊が、引き気味の大学院生に、何度もアタックを繰り返すのも最高だ。

マイナーなテーマのシンポを主催するのが好きだ。

頑張って動員をかけたのに、トークの切れ目ごとに人が立ち上がり去っていくのを見るのは、とてもとても悲しいものだ。

コンピートしているラボに先を越されるのが好きだ。

ひとつ前の演者に自分と同じ実験結果を話されてしまい「偶然同じ結果なのですが」と前置きせざるをえなくなるのは屈辱の極みだ。

諸君。

分子生物学会の会員諸君。

君たちは、2013年神戸年会に一体何を望んでいる?

今までどおりの分生を望むか?

もっと刺激的なイベントにあふれた学会を望むか?

熱血議論の限りを尽くし、三千世界の新発見があふれる、嵐の様な学会を望むか?

「分生」「分生」「分生」

よろしい。ならば分生だ。

我々は、手に入れた研究結果を、今まさに発表せんとする若手研究者だ。

だが、世間から隔絶された実験室で、1年間耐え続けてきた我々に、ただの学会ではもう足りない。

大学会を! 一心不乱の大学会を! え~、のっけから少佐の演説調で始まってしまいましたが、ヘルシング(平野耕太作の吸血鬼が主人公の劇画)を読んでない人には何のことだかわかりませんね。申し訳ない。(これがオリジナルです。http://www.youtube.com/watch?v=QUX0SXbiW34&feature=related 演説の内容はとんでもないですが、迫力とエモーションは物凄いです。) とにかく、2013年の分子生物学会の組織委員会は、皆さんの期待に答えたい!と気合が入っていることをお伝えしたかっただけですので、あしからず。

さて、先月から、2013年の分子生物学会組織委員会が発足して、いろいろな企画を考え始めました。まだ、固まった企画は無く、いずれも実現可能性に関しては未定ですが、とりあえず途中経過をお知らせいたします。それは、ダメだ!とか、もっと良いネタがある、とかのアドバイスをいただければありがたいです。 (適当にtwitterで呟いていただければ、こちらで勝手に拾います。)

以前、学会のアイデア募集と書いたら、twitter経由でいくつか反応がありました。一番多かったのは、「合コン斡旋の場にしてくれぇ」という院生、研究員からの血の叫びです。「バカもんっ。神聖なる学会をなんと心得る。そういう事は、自力でしなさい!」と一括したいところではありますが、かつての自分を振り返れば、心情的に無下にするわけにもいきません。研究室にこもる日常を過ごしている院生諸君にとって、学会は、不特定多数の異性と交流できる貴重な機会でもあるわけです。しかし、そんな企画、まともに出来るわけないし・・・・・・

合コンはともかく、学術研究の世界にも様々な問題があり、しかも、放っておけば政府や文科省がなんとかしてくれる、というわけではありません。我々研究者自身が適切に考え、考えをまとめ、解決への道筋を描く必要があることも多いのです。基礎生命科学於ける最大の学会である分子生物学会は、それを行う場として機能しうる唯一のものとだと思います。という訳で、以下が現在2013年会組織委員会で検討されているプロジェクトです。

企画NO.1:海外PD呼び寄せシンポ(実現可能性75%)

現在の研究社会の問題で、最も深刻なものの一つは、若手研究者の就職問題です。これは、いろいろな方面に悪い影響を与えている。まず大学院博士課程への進学者数が激減しています。特に理学部系の学部がひどい。日本では大学院生が研究の主力になっているので、日本全体の研究レベルの低下に直結します。最近、日本からの論文数が、海外に比べて顕著に低下しているというデータがありますが、その原因にもなっていると思われます。就職問題は、海外のラボにPDとして出て行く研究者が減少する理由にもなっています。海外生活が長くなると、日本との関係が薄れていき、就職のチャンスが減ると思われるからです。実際、自分の経験でも、海外で暮らしているとかなり不安になります。定期的に日本に帰れば良いのですが、そのための飛行機代はなかなか出すことができません。で、考えました。実は分子生物学会は参加者、企業展示等が非常に多いので、予算規模がでかいです。色々と節約をすれば(紙媒体の要旨集廃止、シンポ招待者のパーティーやめる)100~200人分くらいの飛行機代はなんとかなりそうです。ということで、海外ラボに居る研究者のためのシンポを開催し、その飛行機代を援助します。海外在住の研究者は、経験豊富な人材の宝庫ですので、国内で人材を集めている機関、研究室とのお見合いの場にもなるでしょう。希望者がたくさんいる場合は、おそらく、滞在期間の長い順、というような選考基準になると思います。なんとか、彼らや留学を検討している大学院生に、日本の研究者社会は彼らを見捨てていないことを実感してもらえればと考えます。

企画NO.2:薬品ベンチャー主催シンポ(実現可能性90%)

アメリカでは、分子生物学の学生の夢はベンチャーを作って億万長者になること、というのが現実的な響きを持って聞こえてきます。それが良いのかどうかは、ともかくとしても、夢とやる気を与えていることは間違いありません。一方、社会の仕組みの違いもありますが、日本にはそのような雰囲気はありません。何が違うのか?日本のベンチャーの将来性は?そもそも、大学に入る学生は、そうした世界と直接接触したことがないので、「知らない」ことそのものが問題であると考えられます。実は、今回の組織委員会には、薬品ベンチャーの取締役が入っています。かれに、ベンチャー企業のトップを集めてもらい、それぞれの企業が持つ夢や可能性、現状を語ってもらいます。その後、個別の話し合いをする時間・スペースも用意しますので、特に海外PDの人等は、自分の将来の姿を模索する良い機会になると思います。

企画NO.3:対決!捏造バトル!(実現可能性??%)

かなり以前から論文の捏造は大きな問題になっています。分子生物学会でも、若手教育シンポで、著名な研究者を講師に招いたりして捏造を防ぐキャンペーンを行なってきました。しかし、この、上から目線の「若手教育」というスタンスが偉そうでダメだと思います。そもそも捏造をしている人、やりそうな人は、そんなシンポに来るわけがありません。来るのは、参加者を増やすために担ぎ上げられた人気研究者を見にくるミーハーばかりです。「指導をした」というアリバイ的な証拠は残せても、実効性が期待できません。ついでに「教育」側に捏造事件の渦中の人物がいたりするんだから、何やってるのかわかりません。分子生物学会は、この問題に対しもっと真剣に取り組む必要があります。では、もっと真面目で、真剣な企画とはどんなものになるのか?まず、捏造の誘惑に駆られているような人に「参加したい」と思わせ、更に「確率から言って、捏造はわりに合わない」と思わせないといけない。どうするか?最も望ましいのは、捏造経験者に出てきてもらって、その実情、バレたあとの惨状について語ってもらうことですが、これは、、、、さすがに難しいでしょう。次善のアイデアとしては、捏造発見の達人(Webの世界には、何人か有名人がいらっしゃいます)にご出場いただいて、捏造の小細工はすべてお見通しであることをお話いただく。更に、その話に信ぴょう性を与えるために、会場から「俺のやり方なら絶対にバレない」と思う方に、フォトショップで偽ゲルバンドを作ってもらい、それを達人に見破ってもらう、、、なんだかTV番組の「ほこ&たて」みたいです。これならショーとして成立するので、参加者の数も期待できます。しかも、絶対に見破られない捏造をするには、半端でない手間がかかる、ということが印象づけられれば、わざわざそんな愚を犯す人が減るのは確実でしょう。

企画NO4:学会とジャズの融合(実現可能性75%)

海外の学会に行くと、最終日の前日の夜に、ポスター会場をかたずけて生バンドを入れてダンスパーティーをしたりとか、いろいろなエンタメ企画があります。おそらく、欧米人(特にアメリカ人)はハイスクールでの経験から、そのような企画を違和感なく楽しんでいるようですが(すいません。ビバリーヒルズハイスクールからの想像です。)、日本人は、そういった雰囲気が苦手で、ダンスの輪の中とかには入りづらいものがあります。学会はもちろんまじめな情報交換の場ですが、単に堅苦しいだけでは、疲れてしまいます。なにか、リラックスできるような催しがあれば、次の講演会にもフルパワーで参加できるというもの。う~ん、なにか無いか、、、、、と考えていたら、なんと、組織委員の一人がプロはだしのジャズバンドをやっていて、仙台のジャズフェスティバルにも常連として参加している事が解りびっくり。まてよ、もしかすると他にもたくさんバンドやっている人がいるんではないだろうか?そう言えば、神戸はジャズの盛んなところとしても有名だし。講演会場で空いている部屋を生バンドに開放して、疲れた参加者が、ジャズの生演奏を聴けると言うのは、なかなか良さそう。発表時間が終わったポスター会場の一角で(つまりミキサーの会場)バンド演奏があると言うのも良いかも(音の大きさが問題かもしれないが)。あるいは、一番大きなホール(ポートピアホール)は通常プロの音楽家しか使えないが、そこでも演奏ができると言う事なら、演奏側も力が入るかな。何より、学会の雰囲気が変わりそうだ。

企画NO.6:TED(実現可能性80%)

最近(ちょっと前かな?)アメリカで流行りのTEDカンファレンスを、分生でやろうと言う企画。もともと、慶応の荒川さんがtwitter経由で提案してくれたものでしたが、アメリカ在住のPDの方から、プレゼンターの質を保証するのが難しいとの指摘を受け、いったん挫折。しかし、やはり捨てるには惜しい。我々の研究者社会が抱えている問題や、先の見えない未来について、スカッとしたビジョンを与えてくれる話が聞きたいと言う欲求は広く存在する気がします。そこで、荒川さん自身に組織委員会に参加いただいて、分生版TEDにチャレンジしていただくことになりました。

企画NO.7:ここだけ2050年シンポジウム(実現可能性60%)

この部屋の中だけ2050年です。皆さんそのつもりで参加してください。2050年の分子生物学会はどんな事になっているでしょうか?誰が、どんな発表をするのでしょうか?例えば、再生医療が実用化されれば、人は何時までも現役を続ける事ができるかもしれません。そうなると、「分子生物学会60年連続参加」、とか言うような100歳オーバーの研究者がたくさん居たりして。例えば、あの先生とか、あの先生が、ゾンビ化して司会者の席に座っていたりして。あるいは、その頃にはもう実験自体は、人型ロボットに任せているかもしれないし、それどころか発表もロボットだったりして。最新型の「石黒型ロボット」がアシモの聴衆と激しく議論を繰り返す?まあ、考えられる事はいくらでもあると思います。「発表」を公募すれば、楽しく、刺激的で、さらに学会の未来を考えるきっかけになる企画になるでしょう。

企画NO.8ポスター発表PodCast化(実現可能性75%)

ポスター発表は、いろいろ問題があります。最大の問題は、ポスターに来てくれる人の数が少ないと、何しに来たのか解らなくなり落ち込む事。何千もポスターがあるのだから、そうそう全部に人が集まるなんて事、あるはずがない。そもそも、ポスターでは、質問者を「待つ」事しかできないのが不満である。見た目を派手にして客を引こうとしても限界があるし、逆に人が多すぎても説明しきれず、また、同じイントロを何十回も話すのはバカバカしい。そこで考え付いたのが、ポスターのpodcast化。発表者は、参加登録の時に1分間のスピーチと静止画3枚をアップロードし、参加者にダウンロードできるようにする。1分間のスピーチでは、自分の発表の要点と面白さのつぼを印象的に話してもらう。抄録集の細かい字を読まなくとも、関連領域のpodcastをダウンロードしておけば通勤や、新幹線の中でもポスターで何が話されるのかが容易に予習できて楽ちん。イントロ部分は、「podcastを聞いてください」で済んでしまうので、大勢が聞きに来ても同じことを繰り返す必要がなく快適! さらに、ポスタータイトルにtwitter用のハッシュタグを付けておけば、学会の前や、あるいは学会後にも、いつでもどこでもtwitter経由で議論ができる。すごい!え?それじゃあ、学会に来なくてもいいんじゃないかって?はっはっは。君たち、もっと想像力を働かせなさい。今のところ、静止画の1枚目が、発表のサマリーの図、2枚目は本人の顔写真、3枚目は、本人のプロフィールになってます。これを(特に3枚目)をどう使おうと自由である。合コン希望と書こうが、恋人募集中と書こうが、当局は一切関知しないのでご自由にどうぞ。顔写真はいいものを使ってください。

企画NO.9: Perfume?

Perfumeは歌を歌わなければ200万円(歌付きで800万円)だそうです。学会のお金を使うのはさすがに気が引けるので、誰かが寄付してくれれば可能です。以上が、今のところ考えている企画の一部です。ご意見ご感想をお待ちしてります。

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